2025年4月、日本国内で**馬インフルエンザ(Equine Influenza)**が発生しました。
熊本県内の複数の農場で症状が確認されたのに続き、4月25日には北海道・帯広競馬場でも3頭が感染、競馬開催が中止となるなど、その影響が広がっています。
日本国内での発生は17年ぶりとされ、馬に関わる人々に強い緊張が走っています。
🐎 馬インフルエンザとは?
馬インフルエンザは、**馬インフルエンザウイルス(主にA型H3N8)**によって引き起こされる急性の呼吸器感染症です。
主な症状は:
- 発熱(39〜40℃以上)
- 咳・鼻水
- 食欲不振
- 全身のだるさ、元気消失
特に若馬や、ワクチンを定期接種していない馬に重症化のリスクが高く、
感染力が非常に強いため、1頭感染すると厩舎全体へ広がることも珍しくありません。
人間には感染しないとされていますが、人の衣類や器具を介してウイルスが運ばれる可能性があるため、厩舎で働く人々の衛生管理も重要です。
🌍 世界的に厳格な対策が取られている
馬インフルエンザは、アメリカだけでなく世界中の競技馬関係者が常に警戒している感染症です。
例えば国際大会では、FEI(国際馬術連盟)の規定により、競技参加の3日前から競技終了後まで、ホースアプリ(FEI HorseApp)に体温を記録・報告する義務があります。
- 毎日2回の体温測定
- 入力漏れがあると罰金や出場停止措置の可能性あり
こうした管理体制は、出場馬全体の健康と、公平な競技環境を守るために世界標準となっています。
🛡️ ワクチンと予防策
✅ ワクチン接種
馬インフルエンザの最も基本的かつ効果的な予防策がワクチン接種です。
- 初回接種は2回(約4〜6週間間隔)
- その後は半年ごとのブースター接種
多くの競技会では「ワクチン接種証明」が義務付けられており、
特にアメリカやヨーロッパでは、証明書が提出されないと競技出場自体ができません。
✅ 衛生管理と感染対策
現場では、以下のような管理が徹底されます:
- 発熱・咳がある馬は即座に隔離
- 厩舎内の器具・装具の消毒(ブラシ、頭絡、バケツなど)
- 人の手や衣服の清潔管理
また、馬の移動やトレーラーでの輸送も制限がかかる場合があり、
一度感染が出ると数週間〜数ヶ月、競技活動に大きな影響が出ます。
🧭 現地ライダーの視点から
今、僕がいるアメリカでも、
馬の健康チェックは日常のルーティンの一部として徹底されています。
毎朝、馬の様子を観察し:
- 食欲
- 体温
- 鼻水の有無
- 咳・くしゃみ
をチェック。
少しでも気になる症状があれば、乗らずに様子を見る、という判断が自然に行われています。
僕自身、Windurra USAで日々感じているのは、
「競技に出る以上、まず健康管理が最も大切」だということ。
✍️ まとめ:予防が最大の守り
馬インフルエンザは、
発症してからの対処では遅く、日頃からの予防こそが最大の守りです。
- 定期的なワクチン
- 衛生的な管理
- 情報共有
- 冷静で迅速な対応
すべての馬に関わる人が、**「自分の管理が周囲の馬も守っている」**という意識を持つことが、感染を防ぐ第一歩です。
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