はじめに
メリーランド州コッキーズヴィルにあるShawan Downsで開催された「MCTA H.T. at Shawan Downs」に、**BarbeCue(バーベキュー)**と Astiʼs Charming(チャーム) の2頭で出場しました。Shawan Downs は元競走馬の調教場としても知られる240エーカーの草地で、秋には伝統的なスティープルチェイスも行われる“ホースカントリー”の中心地。その歴史的景観を守るため開発制限がかけられ、現在も広大な芝コースが残されています。
会場までWindurraからは車で約1時間30分。ボイドと私は午前4時に出発し、夜明け前の静けさの中で遠征が始まりました。
クラス体系と Modified の位置づけ
アメリカ国内のイベント競技では、国際基準に準じつつもUS Eventing 公認下で実施されるModified (★1)、Preliminary (★★)、Intermediate (★★★)、Advanced (★★★★) という4段階のクラスがあります。
クラス | FEI 相当 | 最高障害高 | XCスピード基準 |
---|---|---|---|
Modified | CCI 1★ | 約1.05 m | 520 m/分 |
Preliminary | CCI 2★ | 約1.10 m | 550 m/分 |
Intermediate | CCI 3★ | 約1.15 m | 570 m/分 |
Advanced | CCI 4★ | 約1.20 m | 575 m/分 |
Modified は国際公認ではありませんが、FEI★1相当の難度を国内で経験できる貴重なステップアップクラスです。今回バーベキューはこのクラスに初挑戦、チャームは経験を積むため同じ Modified にエントリーしていました。
前日からのコンディション
大会前日は激しい雨が降り、芝コースは泥濘(ぬかる)んだ状態。到着後すぐにコースウォークを行いましたが、靴が吸い付くほどの重馬場で、不安を抱えたまま当日を迎えることとなりました。馬装の際、グルームが4本とも**スタッド(蹄鉄用スパイク)**を装着しているのに気づき、滑り対策の重要性を再認識しました。
馬場馬術(ドレッサージュ)
BarbeCue
初の Modified とは思えない落ち着きで、力強い踏歩と柔軟なフレームを維持しフィニッシュ。芝が深くてもバランスを崩さず、暫定4位につけました。
Astiʼs Charming – エントリーキャンセルからの急転
チャームは腱に不安があるため、悪化した馬場を見てボイドが出場取止めを決断。しかしその後、天候回復で路盤が締まり「内側ラインを辿れば行ける」と判断。急遽エントリーを復活させ、ほどいたばかりの立髪を再び三つ編みにする暇もなくリンクへ。即席の準備ながら暫定3位を獲得しました。
しかし、最後の出番で足場が悪化しており、ぬかるみの深い足場の為チャームが落鉄。安全優先でこの日の後半種目を棄権し、翌週のプランテーションH.T.に温存することにしました。
スタジアムジャンプ(BarbeCue)
雨後特有の重い芝と深いフットプリントに苦しみつつも、バーベキューはリズムを失わず快走。2番障害のオクサーで惜しくも1落下しましたが、馬を信頼してソフトコンタクトを常に意識できた。手応えのあるラウンドとなりました。
クロスカントリー(BarbeCue)
戦略
ボイドは一つ上の Preliminary クラスで同一障害を走った直後に、「足場が悪く角度がきつい11ABは無理せずAを飛んだらサークルしてBへ」と安全策を提案。私は迷わずそのプランを採用しました。
本番
ウォームアップ障害で若干物見をしていたバーベキューですが、スタートの1・2番を積極的に攻めると自信がみなぎり、その後は終始勇敢にコースを攻略。問題の11ABは予定通りサークルを挟みノーミスで通過し、水濠やディッチも軽快にクリア。規定タイム+5秒でゴールしましたが、安全第一の判断に満足しています。
完走後、蹄鉄を再び落としていたことが判明。コースを探し回りましたが発見できず、グルームから「手入れが終わって馬も積んだからWindurraへ帰るよ」と連絡が入り撤収。帰厩は16:30、すでに1頭の担当馬が鞍を付けて待機しており、そのまま2頭続けて運動を行いました。
成績
馬名 | ドレッサージュ | SJ | XC | 総合順位 |
BarbeCue | 4位 | 1落下 | タイム+5 | 3位 |
チャーム | 3位 | – | – | 棄権 |
振り返り
- BarbeCue:初 Modified でこの安定感。6歳ながらカリスマ性が際立ち、将来的に5★へ挑戦できるポテンシャルを確信。
- チャーム:腱への負担を最小限に抑えるための判断と、急遽出場という柔軟な対応力がチームとしての収穫。
- 足場対策:ドレッサージュ競技でも足場が芝ならスタッドを付けて出場するという新しい発見
おわりに
朝4時出発から16時半帰厩まで、息つく間もない長い一日でしたが、バーベキューの底知れぬ才能に胸が高鳴る遠征となりました。次戦こそチャームの完走を目指し、さらなる高み――**CCI5★**への道を切り拓いていきます。応援ありがとうございました!
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