灯りはヘッドライト、自転車、そして執念
今回の競技は、Horse Park of New Jerseyで行われたH.T.（Horse Trials）。この会場は、ニュージャージー州Allentownにある大規模な馬術施設で、広々とした芝生エリアや専用スタジアムを備えた、アメリカでも有数の馬術競技会場です。アメリカ東海岸の中でも屈指の馬文化を持つニュージャージー州ならではの雰囲気が漂っており、地元のホースマンシップの高さも感じられる場所です。
会場までは車でおよそ2時間弱。競技前日の仕事終わりに現地入りしたため、Horse Parkに到着したのはなんと20:30。あたりは小雨、空はすっかり暗くなっており、頼れるのはグルームの持つ自転車のライトと携帯の懐中電灯だけ。そこから手分けして障害を探しながらのコースウォーク。
まるでナイトハイク。21:30頃にようやくコース確認が終わり、そのまま帰宅。就寝は0:00。しかし翌朝の集合はなんと3:45。起床は3:30。実質、3時間も眠れていない中での競技となりました。
出場馬とクラス
今回の出場馬は4頭。
- Modifiedクラス：BBQ、Joey
- Noviceクラス：Dixon、Lily
BBQ（バーベキュー）— 散々だったけど、学びの多いラウンド
まずはModifiedクラスに出場したBBQ。いつもはどんな状況でも一定のパフォーマンスを見せてくれる彼ですが、今回はさすがに私の集中力が切れてしまっていたのか、まさかのドレッサージュで常歩の経路を忘れるという大きなミス。そしてスタジアムジャンプでは3つの障害を落下。
アメリカに来てから、初めてと言っていいほど散々なスコアに。正直ショックもありましたが、それでもクロスカントリーでは気持ちを切り替えて走行。1秒だけタイムをこぼしましたが、無事に完走できたことは救いでした。
Joey（ジョーイ）— 想定外のテンションアップ
Joeyとは練習で何度か乗ったことはありましたが、競技でコンビを組むのは今回が初めて。ドレッサージュは無難にこなせたものの、スタジアムでは馬のテンションが予想以上に高まり、まったく収まらない状況に。
結果、6つの障害を落下。アメリカのルールでは5落下以上になるとクロスカントリーに出ることができません。そのため、残念ながらジョーイとはクロスカントリーを走ることは叶いませんでした。
Dixon（ディクソン）— 初コンビでも好感触
Noviceクラスに出場したDixonとは、今回が初めてのコンビ。ドレッサージュでは素晴らしい演技ができ、好感触のスタートでした。
しかし、スタジアムでは1つ落下とわずかなタイム減点。とはいえ、大きな崩れはなく、クロスカントリーではしっかり完走。馬場状態が悪い中でこの走りができたのは、Dixonのポテンシャルの高さを感じさせるものでした。
Lily（リリー）— 不安定な地面でも頑張った
もう一頭のNovice出場馬、Lily。こちらも今回が初めてのコンビでドレッサージュでは気持ちのこもった演技ができ、悪くない内容。ただ、スタジアムでの2落下とタイム減点があり、やや惜しい結果に。
それでもクロスカントリーは最後までしっかり走りきり、難しいコンディションの中でもよく頑張ってくれました。
雨と泥と、ニュージャージーの試練
競技当日は2日連続の雨の影響で、馬場はかなりぬかるんでいました。スタジアムでもクロスカントリーでも、馬が足を取られる場面が多く見られ、正直、馬もライダーも集中を切らさずにいるだけで精一杯。
ニュージャージーは湿度が高く、夏場は特に天候が不安定になりがちです。競技場としての設備は整っているものの、自然との戦いが付きまとう土地だと改めて実感しました。
ちなみに、ニュージャージー州といえば「Garden State（庭園の州）」と呼ばれ、美しい農地や緑に囲まれた環境が魅力。一方でニューヨークやフィラデルフィアにもアクセスしやすく、馬術競技を行うには非常に便利な立地です。Horse Park of New Jerseyも、広々とした敷地に緑が広がり、晴れた日にはまさに絶景。ただし、この日はあいにくの雨で景色どころではありませんでした。
睡眠の大切さを痛感
今回の競技は、全体的に自分のパフォーマンスが4割くらいしか発揮できなかったように感じています。夜遅くの下見、短すぎる睡眠時間、雨による悪天候——すべてが重なった中での挑戦でした。
それでも、ここで崩れて終わるのではなく、「こういう状況でもどこまでやれるか」を試されていたように思います。そして何より、睡眠の大切さをこれほど痛感したことはありません。
今回の競技結果はこちらから
次の競技ではコンディションを整えて、しっかり全力を出し切れるよう頑張ります！
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