はじめに
2025年5月17日、アメリカ・メリーランド州フェアヒルで開催されたワンデイ・イベントに、私が担当する3頭の馬――Asti’s Charming(チャーム)、J’adore Cooley(ハニー)、**Cooley Kaboom(カブーム)**とともに出場しました。フェアヒルでの競技会参加は今回で2回目。前回の経験を踏まえ、より準備を整えた状態で臨むことができました。この記事では、前日から当日までの流れと各馬の走行内容、そしてそこから得た学びを詳細に記録しています。
前日準備 〜 夕立に打たれながらの下見 〜
競技前日は通常通り、クロスカントリー(XC)とショージャンプ(SJ)の下見を行いました。今回のコースは若干の変更があり、特にショージャンプのアリーナは、以前とは異なり森に隣接したレイアウトとなっていました。片側は木々に囲まれ、反対側は通路という、視覚的な刺激の多いセッティング。物見しやすい性格の馬にはやや不利とも言える環境でした。
その下見中、突然の夕立に見舞われ、全身びしょ濡れでの視察となりました。気温もやや下がり、風も出ていたため体力的にも堪えるコンディションでしたが、こうした環境の変化が翌日の馬の反応にどう影響するかを見極める上でも、非常に貴重な機会だったと思います。
当日の流れと3頭運営の工夫
当日は早朝から厩舎作業を済ませ、馬運車で会場へと向かいました。今回も3頭での出場となったため、運動の流れや次の準備等は前回の反省を活かし、よりスムーズな流れを構築することができました。特にウォームアップの時間配分と乗り替わりの動線は大きく改善され、タイムロスを最小限に抑えることができた点は大きな成果でした。基本的に馬装や手入れはグルームが段取りをしてくれているので本当に助かってます。
また、今回はハニーとカブームにとって初の実戦参加。練習時とは異なる会場で、観客の存在やスピーカーの音、他馬の動きにどう反応するか未知数だったため、私自身も慎重にコンタクトを取りながら各馬と向き合いました。
馬場馬術(ドレッサージュ)
競技はまず馬場馬術から始まりました。最初にチャーム、続いてカブーム、最後にハニーの順で出場。
3頭とも落ち着いた様子で演技に集中してくれたのは想定以上の成果でした。特に初出場となるハニーとカブームが緊張することなく正確な動きを見せてくれたのは、日頃の練習の成果だと感じます。得点もそれぞれに健闘し、チャームはこの時点で1位、カブームは4位、ハニーは14位に位置づけられました。
ショージャンプ(スタジアム)
次はショージャンプ。今回のアリーナは、森に面した特異な環境で、特に物見しやすいチャームとハニーにとっては集中力を維持することが課題でした。
事前にボイドからは「入場したら森側に向かって勢いよく駈歩して、馬の意識を前に持っていくこと」が指示されており、その通りに実施しました。
- ハニーは、最初の数障害をやや慎重かつためらいながら飛越。常にプレッシャーのかかる状態で動きがフラットになり、結果的に1つの落下が出てしまいました。
- カブームは、障害に対して積極的にアプローチし、全体を通して安定したラウンド。減点ゼロで終了しました。
- チャームは、一部物見する様子が見られましたが、非常に注意深く、自ら飛越をカバーしてくれました。私自身が踏み切りを誤った場面でも、チャームが冷静に対応し、こちらも減点ゼロでフィニッシュ。
クロスカントリー(XC)
チャーム
スタジアムジャンプ終了後、最初にクロスカントリーに出場したのはチャームでした。スタート地点までは会場の反対側に位置しており、速歩で5分ほどかけて移動。その間、周囲を物見しながらも、障害が視界に入ると真剣なモードへと切り替えてくれました。
今回のコースは障害間の距離が長く、開放的なセクションが多かったため、気分爽快にギャロップを維持することができました。結果はタイム内・障害減点ゼロで完走し、チャームの優勝がこの時点で確定しました。
ハニー
私自身がハニーと出場する競技会は今回が初めてのクロスカントリー。人の気配や色々な物体に敏感な性格のため、特にスタート前の緊張感は強く伝わってきましたが、常に正しいリズムとバランスを意識して乗ることで、徐々に安心感を持ってくれたように感じました。
特に障害に対してまっすぐ向かい、丁寧な飛越ができていたことは大きな進歩です。脚が速い馬なので、後半はやや抑え気味に走行し、無事、規定タイム内でゴールしました。
カブーム
カブームはスタートから力強く進み、第1障害ではやや物見する様子があったものの、すぐに積極的な走行に切り替えてくれました。順調にコースを進行し、特にテクニカルな部分も問題なくこなしていた矢先のこと。
コース中盤、11番障害のダブルコンビネーションで、馬が踏み切る際に後肢を滑らせ、障害に前肢をぶつける形となってしまいました。その衝撃で私自身もバランスを崩し、前方に投げ出されてしまい落馬となりました。
幸い、カブームはその場に静かにとどまり、何処かに逃げ回ることなく私の無事を確認するかのような落ち着きを見せてくれました。ドクターチェック後、再騎乗し、常歩でトレーラーまで歩いて帰還。心身ともに悔しさが込み上げる瞬間でしたが、人馬ともに大事に至らず、次への糧とすることができました。
成績まとめ
馬名 | ドレッサージュ | SJ | XC | 総合順位 |
---|---|---|---|---|
チャーム | 1位 | 減点0 1位 | 減点0 | 優勝 |
ハニー | 14位 | 1落下 16位 | 減点0 | 11位 |
カブーム | 4位 | 減点0 2位 | 落馬(E) | – |
▶ 公式結果はこちら: EventEntries Live Scores
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