Maryland International + Horse Trials(2025年6月27日)

競技の帰り道で起きた事故と、無事に帰るまでの 6時間

競技を終え、結果にも内容にも手応えを感じながら会場を後にした帰り道。
馬も人も疲れてはいましたが、大きなトラブルもなく一日を終えられるはずでした。

しかし、その数十分後。
この日の記憶を一変させる出来事が起こります。


交差点で起きた突然の衝撃

帰路、グルームが運転していた車内で、
突然「うわっ!」という声と同時に、ドンッという大きな衝撃音が響きました。

車内は大きく揺れ、
一瞬、トレーラーが横転するのではないかという恐怖が頭をよぎりました。

何が起きたのか理解する間もなく、
とにかく「止まらなければ」「まずは馬を確認しなければ」
その一心で車を路肩に停めました。


まず最優先は、トレーラーの中の馬たち

車を降りて真っ先に向かったのはトレーラー。
ドアを開け、馬たちの様子を確認しました。

幸いにも、3頭とも立っており、
パニックになっている様子もありません。

この瞬間、
「馬が無事だった」
それだけで、心の底から安堵しました。


目の前に広がる、事故現場の光景

周囲を見渡すと、交差点には大破した一台の車。
フロント部分は原型を留めないほど潰れ、
エアバッグもすべて展開していました。

大破した車にはすでに人は乗っておらず、
運転手は自力で降りていたとのこと。

怪我は少しの裂傷程度と聞き、
まずは命に別状がなかったことに胸をなで下ろしました。

それでも、
「これが数秒違っていたら」
そう考えると、背筋が凍るような状況でした。


事故現場で感じた、人の優しさ

警察や救急車の到着を待つ間、
競技帰りと思われる車が次々と現場を通り、
多くの人が車を停めて声をかけてくれました。

「馬は大丈夫?」
「怪我していない?」

中には、
馬に飲ませるための水を汲んできてくれる方もいて、
その気遣いには本当に救われました。

事故現場という緊張感の中で、
人の温かさを強く感じた瞬間でした。


警察・救急の到着と現場検証

しばらくして、警察と救急車が到着。
怪我人の確認と搬送、
そして事故の現場検証が始まりました。

私自身も同乗者として、
身元確認や書類の提示を行います。

事故車やトレーラー周辺は規制され、
交差点は一時騒然とした空気に包まれました。


レッカー車到着、そして「帰れない」という判断

現場検証が終わり、
レッカー車が到着。

事故車、そしてトレーラーに挟まっていた
車のバンパーや破片が取り除かれました。

一見すると走行は可能な状態に見えましたが、
競技役員の方が車両を詳しく確認し、

「トレーラーとトラックを繋ぐ芯が曲がっている。
この状態で2時間半、馬を載せて帰るのは危険だ」

そう判断しました。

その言葉を聞いた瞬間、
「今日はこのまま帰れない」
と覚悟しました。


最善の選択 ― 一度競技場へ戻る

協議の結果、
一度競技場まで戻り、
事故を起こしたトレーラーは現地に残す。

そして、Windurraにある
別のトレーラーで迎えに来てもらう。

時間はかかるが、
馬と人の安全を最優先した、
一番確実な選択でした。


事故から6時間、ようやく帰宅

迎えを待つ時間は長く、
体力的にも精神的にも消耗しました。

事故からおよそ6時間後。
日付が変わる直前、
ようやく無事に自宅へ帰還。

馬たちを降ろし、
全頭が変わらず元気な様子を見て、
ようやく本当の意味で一日が終わったと感じました。


この一日を終えて思うこと ― 安全とは何か

競技の結果、
馬たちの成長、
多くの学び。

そしてそれ以上に、
安全とは何か
命とはどれほど脆いものか
を強く考えさせられた一日でした。

ほんの少し状況が違えば、
誰かが命を落としていてもおかしくなかった事故。

それがこの程度で済み、
馬も人も無事だったことを、
心から「運が良かった」と思います。


おわりに ― 忘れないために、記録として残す

この経験を忘れないため、
そして同じ競技に関わる人たちに
「安全を最優先にしてほしい」という思いを込めて、
今回の記事を書きました。

競技は続いていきます。
だからこそ、
無事に「帰る」ことまで含めて競技。

この一日を糧に、
また次の一歩を踏み出していきたいと思います。

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